イタリア全土におよそ15万軒あるといわれる「バール」は、日本でいうカフェや喫茶店に近いが、実際は似て非なるもの。イタリアの街は、どんなに小さな街でも教会があり、広場があり、そしてバールがある。街の遠景を切り取れば、人々の生活の営みとともに必ず描かれているのがバールである。「エスプレッソをクイッと飲んでひと休み」というのはイタリアの伝統的な慣習で、企業の経営者も、工場の作業員も、フリーランサーも、イタリア人であれば職種に関係なく、お気に入りのバールで小休憩をとる。もちろん、このコモの街でも例外ではない。「イタリア人にとってエスプレッソは、飲まないと一日が始まらないくらい日常に溶け込んでいるものなんです。私自身1日に10杯は飲みますが、もっと飲む人も大勢いるでしょう」そう語るのはバリスタ歴10年のダヴィデさん。
通勤前の朝や午後のランチの後、店のカウンターには常連客が腰かけ、エスプレッソをクイッと飲んで会話を交わす。陽光の差す中庭でくつろぐのは、ドゥオーモ見学の帰りに立ち寄った観光客だろうか。夕暮れ時はリーズナブルなアペリティーボ。地元の学生たちがカクテルと軽食をつまみに訪れる。幅広い世代の客が思い思いの時間をバールで過ごしていく。「イタリア人は、人との関係をとても大切にしています。エスプレッソを一緒に楽しみ、相手との関係を築いていく。それで『アンディアーモ・ア・ベーレ・ウン・カフェ(ちょっとカフェを飲みに行こうよ)』というフレーズをよく使うんですよ」イタリア人にとってバールは1日の生活のリズムに欠かせない拠りどころであり、人との出会いや交流の生まれる場でもあるのだ。バリスタとしてエスプレッソを抽出するときのこだわりは「温度」だとダヴィデさんは言う。正統派のエスプレッソを楽しむためには、1にマシーンの圧力、2にお湯が落ちる際の豆への伝わり方。
最後に大切なのがお湯の温度であり、90度前後で厳密に調整するのがバリスタの腕の見せどころだ。「エスプレッソの美味しさはそこで決まりますから。それとバランス良くブレンドされた豆と良質なミルクを使うことです」そんな彼が自宅で愛用する家庭用エスプレッソマシーンは、やはりアロマポルティのComo。「理由は使い方がシンプルなこと。それでいて味や舌触り、表面を覆うクレマのきめ細かさなど、バールで飲むものと変わらない本格的なエスプレッソが楽しめるからです。こだわりをよく知るメーカーだからこその設計なのでしょうね」
Viale Varese 73 – 22100 Como Italia
コモの中心地にある、ドゥオーモの裏路地を少し入ったところに@Homeはあります。このイタリアの新しいスタイルのバールは、観光名所にあるバールならではの入りやすい雰囲気が、地元の若者を中心にコモ指折りの人気店となっています。バリスタ歴10年のオーナーこだわりエスプッレソをぜひ味わいたい。